鉛を使った美白法が流行った時代

フランス16世紀から１７世紀の貴族社会で、鉛の灰が粉おしろいとして使われていました。

ギリシャ、ローマ、中国では古代から使われていて、十字軍がハーレムから持ち帰って広がり、やがてはルネッサンスのイタリヤやフランスでも、男女ともに使われるようになりました。

フランスの鉛の灰による黒皮症という女性に多く見られる色素沈着が問題になり、貴族達の間では大騒ぎになりました。
それを解決に導いたのは、長い間執事として宮廷で働いていたある女性でした。

この女性は南フランスで薬草や花々を作っていた領主の娘で、錬金術を使って皮膚病や傷、病を治していた父からの伝授と、幼いころから見て習った知識が貴族の女性の肌を治療したということがありました。
この女性は后の宮殿のありとあらゆる相談相手をして信頼がありました。たとえばインテリアから、衣装、メイク、料理の盛り付けや美しさにかかわるすべてのことを指図していたそうです。

この話は、私がフランスの国立ブルトーニュ大学で研修のため学んでいるころ、プロバンスから来ていたエステティシャンから、聞いたのです。

またその執事の彼女はその後、タルクを使った粉白粉を、貴族社会の女性たちに提案して、安心して使える今のルースパウダーが出来上がったそうです。

私が知っている限りでは、フランスのコスメメーカーブルジョアは、1860年代におしゃれなパウダーポットに入った粉白粉を発売して今に至っています。