Yves Montand イブモンタンの安奈淳さん

東日本大震災の3日後に元代々木のスタジオで音入れが始まった。
4月21日から三越劇場で開演される安奈淳さん主演の音楽劇イブモンタン。
実質３５日余りでこの悪条件のなか仕上がるのだろうかと思った。

イブモンタンを愛した3人の女たちの回想劇。妻のシモーニュシニョレ、マリリンモンロー、エディットピアフを演ずるのは宝塚出身スター3人です。

地震、福島原発の不安でいっぱいの時、本当に始められるのだろうかと誰もが感じていた。
元々安奈淳さんの再スタートを讃える企画だったのでどうしてもやらなければならない使命感をプロデューサーは持っていました。

本読みのためにキープしていた公的機関のスペースはすべて使えなくなりました。
私の代々木のオフィスで衣装合わせ、ヘアーメイクを合わせるとともにその建物内の会議室を借りれるように手配をし、何とか予定通りのスタートをしました。
安奈さんはその日によって体のコンデションが著しく違うらしくて毎日ファンのサポートの方たちが送り迎えをされていました。そして稽古が進んでいくうちにみるみる彼女は蘇っていくのが見えるようでした。
さすが、体に染みついたスター力を見せられる思いがしました。

50年代から70年代のファッションは大きく変化していった時代です。そのためにたくさんの衣装を用意する必要がありました。
ピアフとシニョレには私の衣装ストックを使い、昔パリとロンドンで買ったアンティークのワンピースにしました。

そして真逆なアメリカンの女優マリリンモンローを一番派手にすることで、この劇は絵になると確信した。

お客様のアンケートに、「久しぶりに本物の上品な衣装を見せていただき震災の悲しみも音楽劇とともに忘れさせていただいた」という感謝の言葉を読んだとき、嬉しさと幸せな気持ちになった。
それも安奈淳という大スターに魅了されたにちがいないし私も感動の毎日でした。