コラム コスメティックセラピー活動の成果について ヘアスタイル 2-コラム
コスメティックセラピー活動の成果について
さくら苑長桜井里二
矢野先生を初めとするみなさまが,ここさくら苑で実践されているコスメティックセラピー活動について,私の感想をご報告したいと思います。
まず最初に当苑のスタッフの雰囲気ですが,この活動をスタッフ自信が大変楽しみにしておりました。お年寄りが生き生きと,そして美しくなっていく姿に触れることができ,スタッフもとてもやりがいを感じていますし,自分たちの生活空間がとても爽やかになったと感じられ,スタッフのほうも生き生きとしていたように感じました。
スタッフの意識ですが,お年寄りへの見方が変わってきたと思います。
介護活動は非常に厳しいものなので,介護ということだけに視点が偏ってしまいがちですが,お化糀をしたり,あるいは美しく装ったりということを通じて,介護という視点ではなくて,もっと大きな視点,つまり全人的な生活者という視点からお年寄りを見るように,スタッフの意識が変わってきたように思います。
言いかえれば,コスメティックセラピー活動が,特別養護老人ホームの生活の組み立て,あるいはスタッフの活動のあり方を,もっと豊で文化の香りのする,深みのあるものにしてくれたのです。
これはコスメティックセラピーを通じて私たちが学ばせていただいた、とても大きな成果です。それから,入所者の変化,効果については以下のように感じています。
人はだれでも心の奥底で,自意識というか自分自身を意識し,自分自身が美しく生きるということを大切にしているはずです。コスメテイックセラピーには,そうした思いに揺さぶりをかけていくような,素敵な効果があるのではと感じています。
お年寄りの皆さん,といっても女性が大部分ですが,皆さん若いときはおしゃれを意識して生活してこられたでしょうが,年を取るにつれ、あるいは体が不自由になったりするにつれて,おしゃれ心というものを忘れてしまいがちです。今回の活動は,女性として美しくありたいという根源的な気持ちに働きかけてくださったように思います。コスメティックセラピーが終わり,美しくなって,鏡で自分の顔を見たときの本当に晴れやかな,自信にあふれたような嬉しそうな表情を見て,そのことをしみじみと感じました。これは本当に予想を超えた大きな成果です。
おしゃれ心を持ち,身だしなみをしっかり整えて生活するという意識が出てくることによって,人と出会うこと,人と交流することに自信を持ち,そのことに喜びを見い出していく。あるいはそのことに積極的に向き合うという意識が生まれてきたことを実感します。苑内の雰囲気,生活のフイーリングのようなものがとても活動的になり,外に出ていろんなところに出かける,おいしいものを食べに行く,公園に行く,花を見に行く,といった活動にも積極的に参加、をするようになり,それを自分から楽しんでいくという変化がたくさん生まれました。
これは,お年寄りの一人一人が社会性といいますか,地域の中で生きる喜び,人々と共に生きる喜びが,もう一度しっかり自分の中で復活してきたということではないでしょうか。
スタッフ,お年寄りの皆さん共々,大変いい影響を,深く,しかもさりげなく,無理なくたくさんいただきました。コスメティックセラピー活動の今後に。私は大変期待をしておりますし,こういう活動が社会に広がっていき,大勢の方が生き生きとした商齢期を過ごすための力になっていってほしいと思います。
出典:矢野実千代(2000) 『高齢者のコスメティックセラピー』一番ケ瀬康子監修,一橋出版

さくら苑長桜井里二
矢野先生を初めとするみなさまが,ここさくら苑で実践されているコスメティックセラピー活動について,私の感想をご報告したいと思います。
まず最初に当苑のスタッフの雰囲気ですが,この活動をスタッフ自信が大変楽しみにしておりました。お年寄りが生き生きと,そして美しくなっていく姿に触れることができ,スタッフもとてもやりがいを感じていますし,自分たちの生活空間がとても爽やかになったと感じられ,スタッフのほうも生き生きとしていたように感じました。
スタッフの意識ですが,お年寄りへの見方が変わってきたと思います。
介護活動は非常に厳しいものなので,介護ということだけに視点が偏ってしまいがちですが,お化糀をしたり,あるいは美しく装ったりということを通じて,介護という視点ではなくて,もっと大きな視点,つまり全人的な生活者という視点からお年寄りを見るように,スタッフの意識が変わってきたように思います。
言いかえれば,コスメティックセラピー活動が,特別養護老人ホームの生活の組み立て,あるいはスタッフの活動のあり方を,もっと豊で文化の香りのする,深みのあるものにしてくれたのです。
これはコスメティックセラピーを通じて私たちが学ばせていただいた、とても大きな成果です。それから,入所者の変化,効果については以下のように感じています。
人はだれでも心の奥底で,自意識というか自分自身を意識し,自分自身が美しく生きるということを大切にしているはずです。コスメテイックセラピーには,そうした思いに揺さぶりをかけていくような,素敵な効果があるのではと感じています。
お年寄りの皆さん,といっても女性が大部分ですが,皆さん若いときはおしゃれを意識して生活してこられたでしょうが,年を取るにつれ、あるいは体が不自由になったりするにつれて,おしゃれ心というものを忘れてしまいがちです。今回の活動は,女性として美しくありたいという根源的な気持ちに働きかけてくださったように思います。コスメティックセラピーが終わり,美しくなって,鏡で自分の顔を見たときの本当に晴れやかな,自信にあふれたような嬉しそうな表情を見て,そのことをしみじみと感じました。これは本当に予想を超えた大きな成果です。
おしゃれ心を持ち,身だしなみをしっかり整えて生活するという意識が出てくることによって,人と出会うこと,人と交流することに自信を持ち,そのことに喜びを見い出していく。あるいはそのことに積極的に向き合うという意識が生まれてきたことを実感します。苑内の雰囲気,生活のフイーリングのようなものがとても活動的になり,外に出ていろんなところに出かける,おいしいものを食べに行く,公園に行く,花を見に行く,といった活動にも積極的に参加、をするようになり,それを自分から楽しんでいくという変化がたくさん生まれました。
これは,お年寄りの一人一人が社会性といいますか,地域の中で生きる喜び,人々と共に生きる喜びが,もう一度しっかり自分の中で復活してきたということではないでしょうか。
スタッフ,お年寄りの皆さん共々,大変いい影響を,深く,しかもさりげなく,無理なくたくさんいただきました。コスメティックセラピー活動の今後に。私は大変期待をしておりますし,こういう活動が社会に広がっていき,大勢の方が生き生きとした商齢期を過ごすための力になっていってほしいと思います。
出典:矢野実千代(2000) 『高齢者のコスメティックセラピー』一番ケ瀬康子監修,一橋出版

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