ヨーガンレールの服と染色

ヨーガンレールは原宿駅近くに一店舗目がオープンしたころによく行っていました。
上質の綿のパジャマをとても気にいっていましたから前を通りかかるとつい寄ってみたくなるのです。

これといったデザインをしていないようでも、どこかこれ見よがしのデザインのためのデザインをしているモノとは違った落ち着きがあるのです。
ヨーガンレールの服は履きなれた靴と同じように、新しいものを着たときにずーっと前から着ていたような感覚をさせてくれるデザイナーの真面目さが伝わってきます。

彼のテキスタイルの美しさは糸にこだわり、染めにこだわること、はるか太古から、大自然の大地の色や草花の色を伝えています。
飽きのこないデザインと素材は日常に邪魔にならず着心地良く機能的です。

日本人の日常着として着物や小袖を着ていた時代の感覚は色で楽しみ、小物で個性的に自分らしい組み合わせをしていました。
キモノという枠からはみ出しすぎない律義さみたいなものがあり、大胆の中に秩序みたいなものがあり静かなな美しさを持っている。・・・そんな感覚がヨーガンレールの服にも感じられます。

ファッションの基本は布なのですから、体に優しいものを身に着けたいものですね。

ヨーガンレール含め70年にデビューしたデザイナーたちはテキスタイルや新しいデザインにこだわって世の中に出ていくエネルギーがありました。

それからは、そんなエネルギーを感じたことがありません。
新しいことを生み出していく力は、経済にも生き方にも、強い希望がみられることと思います。
グローバル時代の今、新しい日本人の着るもの、ファッションが出てくることを期待しています。


(C)jurgenlehl

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