パナバ帽のファッション

私の父は夏にはよくパナバ帽をかぶっていた姿を思い出します。
オフホワイトの麻のスリーピースに良くマッチして子供ながらにかっこいいと思っていました。

祖父や父の時代は大正デモクラシーの影響でモダンボーイ（モボ）モダンガール（モガ）がいて、おしゃれがきまっていた時代は後にも先にももうないだろうと思います。

おしゃれをして日常とは違う気分で気取って澄ましてお出かけできる場所やセレモニーや空気が人を成長させます。

みんな気取って西洋かぶれをしていることが自慢の時代でもあったから日本の近代化は進んだのでしょう。
高温多湿のユカタン半島のカンベチエ州で獲れたパナバ草を使って、時間をかけパナバ帽は織られるそうです。

マヤ族の先住民が手作業で、あじろ編みという技法で数少ない熟練の高齢者が織っているモノは最高級のもので、芸術品に扱われるだろうといっている人もいるくらいです。

ちょんまげを切り、西洋のヘアースタイリング剤ポマードをつけた短髪にパナバ帽を被り、一段とあか抜けて見えたのではないでしょうか？

パナマ運河を見に来たルーズベルトが、高温多湿のこの地方で蒸れなくて涼しいパナマ帽を気に行って被ったそうです。

また、帽子のスタイルもボルサリーノ型(映画　ボルサリーノでジャンポールベルモンドとアランドロンも被っていたので名付けられたのでしょう）、キューバ型、スタンダード型（女性に人気）などがあり、そうそう小野洋子さんが良くかぶっていますね。
このスタイルを作り出すために何度もプレスを行うことで型崩れのしない折りたたみこむことができるのです。

そして、現代ではファッションに合わせて男女兼用におしゃれを楽しんでいられることは素晴らしいです。

高級なシルクを加工したかのような手触りでくるくると丸めてコンパクトにしまうことができます。
平面な顔立ちの日本人にはアロハシャツやTシャツのように気楽なカジュアルファッションとして親しまれています。

世界のファッションがカジュアル化してきたので愛されるようになり、それ以前にパナマ運河を経て世界に広がっていったおかげでだと思います。

世界レベルで少数民族による手工芸は後を引き継ぐ人材不足のようです。21世紀で無くなってしまうのはこころがいたみます。