サンモリッツのイサム野口の提燈

私の部屋ではイサム野口の提燈を使っている。しかし、古くなっていた紙が破けてしまい、民芸ショップの提灯の紙をかぶせて間に合わせている。
趣味のものを間に合わせなどをするというのは、こだわり趣味人としては哀れなものですね。

イサム野口の提燈の素晴らしさを知ったのは、銀行のカレンダーのロケで訪れたスイスのサンモリッツ。
確かシーフードレストランで木目の天井に木目の壁、光がいっぱい入る窓、窓には白いロールスクリーンが半分くらい下げられていて、天井の照明にはイサム野口の提燈が55個もつるしてありました。

55個もの数の迫力と、電球のワット数が一つずつ違っていて、木目と白がモダンでもあり和と洋の調和が何とも高級感を醸し出していました。
このレストランを選んだのは、電通のプロデュ―サーなのだが、日本の提灯がサンモリッツの4つ星高級レストランに使われているからあえて選らんだそうだ。日本人であるという誇りを感じながら優越感にひたり、世界一の高原リゾートを楽しんだ。

こんなにシンプルで清潔感があり、天井の光が揺れて何とも知れない世界観が素晴らしかった。これは演出の力、コーディネイト力が雰囲気を大事にする西洋の凄さだと感心しました。

イサム野口は岐阜提灯からヒントを得たらしいけれど、和紙の白の紙と竹の骨組みは、自然なカーブが表情となっているので、ボリューム感と動きがあって実際使ってみると温かく優しい光が気持ち良いのです。

日本の障子は昼間の光を間接的に取り入れた素晴らしい調度品であり照明器具だそうです。
和の美意識は自然の移ろいが、時間と空間を超えて静的な美しさを表現する芸術文化だと思います。

それはイサム野口の提燈は、世界に日本のカジュアルな優雅さを教えているのではないだろうか?
彼は日本でもアメリカでも差別を受けた混血故に、西洋的な美意識と和の美しさが融合するに至った経緯が自分自身のアイデンテティになったのかもしれない。



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