EPILOGUE 懐かしいぬりえの少女のような笑顔をいつまでも

「ぬりえでメイクがじょうずになったらいいな」
そんな思いがふっと浮かんだのは、小学生の頃に少女雑誌「なかよし」や「りぼん」の付録のぬりえを楽しんだのを思い出したことがきっかけでした。

それは昭和30年代のこと。映画『ALWAYS 三丁目の夕日』にも描かれて人気を呼んだ、日本が貧しくもはつらつと輝いていた時代です。その頃、私は中原淳一さん的な描く可愛いぬりえの少女達に出会い、夢中になりました。

可愛いあの子達にまた会いたい。どの年代の方も懐かしく親しみが持てる、あのぬりえで楽しく色をつけながら、おしゃれを完成させてみたい。そんな楽しいイメージを持って、現代の女性を美しいメイクで輝かせたいと思ったのです。

いくつになっても子供のような純な感情が湧き出る心を持った女性は、人を幸福にする笑顔といつ魔法を持っているもの。また、その魔法は自分自身にも自信と、自分をより好きになる力を与えてくれます。あのぬりえの少女達はいつもそんな笑顔を浮かべていました。

そうした笑顔の効用に気づいたきっかけは、ほかにもあります。

フランスでは30年も前から、病院や老人保健施設などで高齢者に対するエステティク="ソシオ・エステティック"を施してきました。私も昨年、フランスの国家資格であるソシオ・エステティシャン養成校「コデス」へ研修に入り、日本校開校のために創立者からさまざまな指導をいただきました。

長年のコスメティックセラピーの経験を元に今、緩和ケア専門の病院で受講生の現場実習の指導をして気づくことがあります。それは高齢者や病を抱える方々は、自分の存在価値を大切にしてくれる人に出会うと、とても喜ぶということ。また身づくろい・身だしなみのお世話や、メイクをしてさし上げると、気持ちが切り替わって痛みや苦しみをひとときでも忘れられ、病室に花が咲いたような華やぎが生まれるとりつこと。そんな刺激によって人は笑顔を取り戻し、生きる力も湧いてくるのです。

ぬりえの少女達のような時代は過ぎ、30代、40代になっても、それ以上に年齢を重ねても、すべての女性にそんな笑顔を持ち続けてほしい。それが、私がこの本に込めた思い。ここまで読んできてくださった内容に加えて、付録のぬりえドリルを楽しむことで、日幅を軸として、バランスの取れたアナタだけのメイクデザインがマスターできます。


私が提唱する「目幅ものさし理論」の7つの活用法は次のとおりです。

① マイカルテで気質を理解する
     ↓
② マイカルテで心と生活の習慣を見る
     ↓
③ マイカルテで客観的に自分を見る
     ↓
④  ぬりえドリルで具体的に顔立ちを見つめる
     ↓
⑤ ぬりえドリルで小顔になれる
     ↓
⑥ ぬりえドリルで色を楽しむ
     ↓
⑦ 目幅ものさしで円満な顔をつくる


この7つの活用法を実践することで、楽しみながら自分の美しさと個性に気づき、それを生かすメイクを身につけていただけたら幸いです。


この本の出版にあたり、モデルになってくださった5人の私のよき理解者の方々、ご協力くださった一橋出版のスタッフのみなさんに感謝申し上げます。


このような時の縁、人の縁に包まれて、もうすぐ60歳になろうとする私は育てていただいております。ありがとうございました。


矢野実千代


出典:矢野実千代(2008) 『すぐ! メイクがうまくなる本-ぬりえでかんたんメイクLESSON』一橋出版



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