ミッテラン大統領の料理人、オルタンスのファッションとメイク

大統領の料理人に選ばれた事を知らないまま、片田舎に住むオルタンスは迎えの車に乗り込む。
急な連絡で慌てた格好で出かける。

年の頃は40代後半だろうか、そんなオルタンス・ラボリは叔父と暮らし、農業をしながらレストランを営み、こだわった食材を自給自足で料理をつくることが生きがいのマダムです。

オルタンスのファッションは働き者らしく、ブートニエール（襟なしコート）にブラウス、センターボックスプリーツの動きやすいスカート、5cmから7㎝のシンプルパンプス、アクセントにサンゴ色のボリューム感のあるネックレス、ヘアーは肩までの長さにして合理的におしゃれをしやすく演出している。

前髪の分け目は6：4で分けて耳まで掛かるか、かからない長さがさりげないおしゃれ感がニクイ。
オシャレをしていることをあえて、見せないのは上級者のおしゃれです。

メイクは頬骨がくっきりとしているオルタンスの顔立ちに、広範囲にチークを入れています。
喜怒哀楽が豊かな彼女は、笑うと頬骨がくっきりと浮き出て、かえってチークを可愛く強調しています。
オルタンスにこのチークは素晴らしいと思いました。

眉は太く意志の強さを感じさせ、アイブロウはブラシをかけただけで素敵です。
下を向いたときにだけアイライナーが目尻をきりっと見せます。
さらにメイクを引き立てているのが、パールだったりサンゴが混じっている大きめのネックレスなどで全体のファッションをまとめています。

その装いの上に料理人の白衣を着ないで黒いエプロンだけをいつも着用しているのです。その装いで、手間暇かけてフォアグラやカモなどの食材をパイ生地に包んだ”美しきオーロラの枕”というメニューを作り、＜美味しい＞とはこういうことなんです。とオルタンスは笑顔で語る。
そして、大統領が望んだのは素材を生かした料理、ボルチーニのスクランブルエッグ。大統領のおばあちゃんが小さいときによく作ってくれた味をプライベートな食事会に味わいたいと望んだのです。

人は生まれ育った記憶を安堵として生きているように思います。
故郷の味、匂い、風、景色などを頼りに、さらなる旅立つ故郷を探しているのでしょうか？


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